【自己紹介】
◆名前 くろちゃん
◆出身高専 学科 豊田高専 電気・電子システム工学科
◆学科順位 真ん中くらい
◆受験の年 H29
◆受験大学 受験科目 東京大学工学部システム創成学科
◆併願大学
筑波大学理工学群社会工学類
首都大学東京システムデザイン学部経営システムデザインコース
◆資格 TOEIC900くらい
◆その他経歴
2年次にスイスへ1年間留学
留学生や留学候補生を指導・サポートする団体で活動
◆SNS Twitter @pizzamaster00
◆ウェブサイト
ブログやっています!編入体験談の詳細も書いているのでぜひ。
はてなブログ「くろちゃん日記」
【受験準備】
◆動機
簡単に言えば、大きなチャンスが得られるからです。詳細をもっと知りたい方は以下の記事を読んでください。
くろちゃん日記「私がなぜ東大を選んだのか 〜高学歴信仰について思うこと〜 」
◆ 【きっかけ】
ぶっちゃけ、記念受験でした。 同じようなカリキュラムの筑波大学社会工学類を第一志望にしており、5年生の春まで東京大学を受験することは考えていませんでした。東京大学を受験しようと決意したのは3月。全国編入生会(ZENPEN)主催、第5回関東合同説明会に参加したときのことです。
第一部は各校代表の先輩方によるプレゼンテーション、第二部は先輩方と直接お話ができる、フリーセッションでした。筑波大学の先輩から希望する学科は受験科目が数学1科目しかない上範囲も狭いと聞きました。どうやら余裕で合格できそうだ。特に頑張らず大学進学してしまう可能性に、逆に、危機感を覚えた私は関連学科のある東工大・東大の先輩から話を聞いてみることにしました。
東工大は化学含めた4科目受験であり、これはこれでモチベーションの維持が無理そうなので諦めました。それに対して、東大は2科目、数学と英語だけです(志望学科に因る)。
私は帰国子女で普段から留学生と英語で会話していることもあり、英語に関しては誰にも負けない自信を持っています。ライバルが4教科勉強している間、私は数学だけを勉強すればいいので、私にとっての3箇月は他の人の1年間に匹敵すると考えました。ワンチャンしかないぞと。
フリーセッションでは、気さくでありつつ知性を感じさせる先輩方に圧倒されました。東大の人間は、オーラを持っています。この学校に行きたい、直感的にそう思いました。 編入試験は高校生の大学受験に比べて圧倒的に情報がありません。参考書の選択肢も少なく、過去問題が出回っておらず(解答なんてもってのほか)、そしてなにより周りが理解していないためサポートを受けにくいです。そんな中で、マイノリティな編入生による、直接面談の機会を得られるZENPENは救世主です。オープンキャンパス以上に行く価値があります(笑)
私も大学進学後は運営側として参加したいと思っているので、ぜひその場でお会いしましょう!パソコン持って来て、事前に連絡くれれば過去問題や解答をお渡しますよ。
◆3年
英検準1級、ドイツ語検定2級、TOEIC870点を取りました。 学習到達度試験では微分積分の計算が全くできずほぼクラス平均点でした。 完全に文系ですね~ 3年生の春休みに初めて、ZENPENに参加しました。「うわーみんな頑張ってるなあ」というくらいの印象しか持ちませんでしたが、その頃から編入試験に意識を向けるようにしていました。
◆4年
TOEIC提出のため更新しました。最終的には880点でした。変わってないですね。 新しい趣味を始めたり、複数の学生団体とボランティアの活動をしていたりで全く勉強しませんでした。受験勉強だけでなく、学校の勉強にすら身に入りませんでした。GPAは入学時から綺麗に単調減少しており、後期は過去最低で3.5でした。
一番恐ろしいのが、これで全く危機感がないことです。勉強しなきゃ!という意思はあるもののなかなかスタートを切れませんでした。夏休み、新学期、11月、新年、2月、次々とターニングポイントが過ぎていきました。
◆4年3月
3月にはクラスでベトナムに研修旅行に行き、スキー合宿や飲み会に参加していました。逆に、4月からはなにも入れないようにしていました。思う存分遊んだ後、先述の編入説明会に参加して、そこから一気にスイッチが入りました。3月22日。これが私のスタートです。
累計ノート消費数:2冊
◆4年春休み
春休みラスト一週間は一日8時間勉強していました。授業を多く取っていなかったので、始業後も週7日学校の図書館か市内図書館にこもることができました。
固有値ってなに?状態だったので行列・行列式・固有ベクトルから勉強していきました。次に、細野真宏の確率が本当によくわかる本 を1周しました。筑波を受けることもあって、統計学を新編高専の数学3やマセマを使って勉強しました。線形変換・部分空間をマセマで理解し、微分方程式を過去問題特訓でやりました。
また、願書が5月8日提出なので、このころ書いていました。東大は珍しくA4一枚自筆で志望調査書を書かせてもらえます。面接ではこの紙からいろいろ突っ込まれるので、しっかり考えて書いたほうが良いです。先生に添削して貰う必要はないと思いますが。
状況としては、筑波の問題はだいたい解けて(あとで統計学の答えがだいたい間違っていたことに気づく)、東大の過去問題に手を付け始めたくらいでした。
累計ノート消費数:4冊
◆5年5月
ゴールデンウィークは人生で一番勉強した時期だと思います。毎日学校に行かなくても良くて図書館に通えるとか神ですか。8時から10時までスタバで勉強、図書館が10時に開いた後19時まで勉強して帰る。そして夜はひたすら洋ドラを見る。文字通りゴールデンなウィークでした!!勉強しすぎると中毒になって頭おかしくなります。
平成26年②のような、確率漸化式の問題に躓きました。そんなときは友だちに聞くか、ネットを見ればだいたい解決しました。知恵袋や高校数学の美しい物語はよく使いました。思えば先生のところに聞きに行ったのも一回だけです。
ベクトル空間と重積分、2変数関数を大学編入試験問題 数学/徹底演習等でやりました。ゴールデンウィークの後半には複素関数に手を出し、マセマを2日で終わらせました。それからは、本格的に過去問題に取り組み始めました。しかし、その頃の実力ではどの問題も答えを見ないと解ききれませんでした。答えを見れば理解できるので成長しているはずとポジティブに捉え、6年分を1周しました。同時進行でマセマのベクトル解析を始め、重積分をやりました。
ごめんなさい、本当に数学ばっかりなんです。英語は週に1時間、過去問題を解いてみて英語科の先生に添削してもらうことをしていました。その他では英語ポッドキャストを通学時に聞き、Ankidroid(Android/iPhoneアプリ)で単語帳を作って東大用の難しい英単語を覚えるようにしていました。言うまでもなく、洋ドラは字幕で見ます。
累計ノート消費数:9冊
◆5年6月
あと1ヶ月。非常にナーバスな時期でした。一応出題範囲はすべて参考書を一通りしカバーしたものの、実力が結果に現れてきませんでした。東大過去問題が初見で5割、2回目で6割と目標の8割を大きく下回っていました。勉強しても忘れてしまう。解法をその場で思いつくひらめきがない。
だめなことだらけですが、これを改善するためには勉強するしかないですね。勉強の悩みは勉強で解決しましょう。自分の出来なさに落ち込むたびに気合い入れていきました。
前半は、線形代数をベクトル・行列・行列式 徹底演習で勉強し、重積分を2周目やりました。苦手問題の累題を碓氷軽井沢IC数学教育研究所で探してきてやっていました。微分方程式、確率統計を別の参考書で復習しました。また、このころからAnkidroidを数学の公式を覚える用にも使うようになりました。重要公式や考え方はノートにまとめてあるので、それをスマホで撮ってパソコンに取り込んでタイトルつけるだけです。これをやるようになってから記憶の定着率がぐんと上がりました。
後半は、ラストスパートと思いきや、モチベーションが最低でした。「どうせ勉強しても私なんかが東大に受かるはずがない」と、これまでが嘘のようにネガティブになってしまいました。よく考えてみると、東大のすぐ次の週が滑りどめの首都大学の試験です。
「やべえ2週間前なのに首都大の物理なんにもやってないじゃん!!」ずっと東大用の対策しかしてこなかったため、もし東大に落ちたときのことを考えると、バックアップにすら合格できない最悪の事態を想像しました。
モチベーション底辺でも、最低限はやっていました。過去問題特訓は4周し、これまでに使ってきた参考書は2周解きました。過去問題は7年間を3周し、10割けるようになっていました。
英語も実は勉強法を工夫しました。東大の英語はやたら難しい言葉が使ってある、訳する一文がやたら長い、とにかく日常生活ではこんな英語使わないものばかりではっきり言って難しいです。特に、英訳・和訳では直訳はできてもしっくりくる訳し方ができずに苦労しました。英語の文章を理解していることと、理解したうえで別の言語で文章を再構築することでは別の技術が必要です。翻訳者のサイトを見て、英文和訳法について勉強しました。
この2つのサイトは必見です:
累計ノート消費数:14冊
【試験】
試験日: 一次試験:7月2日(日)二次試験:7月14日(金)
◆学力試験
試験内容(工学部で試験は共通)
英語 9:00~11:00
大問5つ
リスニング:ディクテーション,○×(普通)
英訳(やや難しい)
和訳(難しい)
長文読解(簡単)
自由英作文「日本の大学における軍事兵器の研究に賛成か」(普通)
今年の問題はほぼ例年通りの難易度でした。(やや難化か?)大まかな出題傾向は大きく変わっていないが、問5で100文字以下→150字以下になるなど細かい変更がありました。100文字と150文字では文章の構成が大幅に変わるのでどちらかに統一してほしいものです。
数学 12:30~15:00
大問五つ
微分方程式:2階線形,u=y/x,オイラー(普通)
確率,2項分布の極限をとるやつ(難しい)
ベクトル解析:回転や発散の公式が書いてあって面積分とかする(無理)
複素関数:CRの定理,留数定理(普通、難しめ)
行列・行列式:固有値*2,複素行列でケーリー・ハミルトン,ベクトルxが最小になる条件(難しい)
毎年、この傾向です。ただ、問2統計問3サイクロイド系、まれにフーリエ級数 のときもあります。
今年の難易度、鬼でした!!!! 問題冊子を開いた瞬間、落ちたのを確信しました。どうせ出ないだろうと放置していた範囲が②③⑤で出題され、勘がことごとく外れていたからです。問3は、ほぼ白紙で諦めました。その代わり時間をかければ解けそうな⑤を攻めたりして、屈辱の150分をしのぎました。時間内に解けたのが7割、点数は体感5割。終わった瞬間、隣の席の子と顔を合わせて苦笑しました。今年ははずれを引いてしまった、今までの努力も報われなかったなと。
1次試験合格発表の当日はいつものように図書館にいました。特に期待もしていなかったので時間になってもあまり見る気はありませんでした。無視し続けるも、勉強にも集中できなくなってきたので恐る恐る開けてみると…自分の受験番号が…あった… あった!!! この瞬間が最高でした。ずっと合格通知を見て喜ぶ姿をイメトレしてきました。努力を天が認めてくれた、東京大学とご縁があった、感謝の気持ちでいっぱいでした。 ただ、もう少し自信を持って合格発表を望めたのなら最高の瞬間を一人で、図書館で無言で味わうことにもならかったのですが(笑)
◆面接
面接官は8名程度、L字型に並んだテーブルで囲まれる。距離は非常に近く、表情がわかる。
面接の30分前に待合室に呼ばれるが、筆記試験のようなピリピリした雰囲気はなく、雑談できる。
面接は5~10分程度で、短いからどうとかいうことはない
今回、システム創成学科で面接を受けた人が4人いた。そのため、面接官も学科の先生が多くを占めていたように思う。そのため、他のサイトではメインの質問の先生が一人、サブの人が2人ということが書いてあったが、実際にはいろいろな先生から質問をされた。
持ち物をすべて会場まで持っていく。
聞かれた内容:
「簡単に志望動機を教えて下さい」
「学校の志望動機はわかったので、この学科を志望した理由を教えて下さい。」
「海外での生活経験をしてきた中で感じた、日本の人と海外の人の違いを教えて下さい。」
「将来の進路はどのように考えているか」←メインの質問。志望調査書にも、希望の職種を具体的に書いていたためこの職業にまつわる自分の意見をいろいろ突っ込まれた。
「(希望の職種)は文系就職もできるけれど、理系から行くことに関してどのような強みがあると思う?」
「海外の大学へ行くことは考えているか」
「起業・アントレプレナーシップは考えているか、またそれにはどのような能力が必要だと思うか」
「海外での諸問題を解決することと、希望の職種につくことの間にはどのような関係があるの?」
英語面接はないだろうと予想していたし、毎年2科目受験で落とされる人は9割5分いないから余裕を持って挑みました。そしたら、あれ?意外としんどい。先輩は「やりたい研究とかあるの?」「まだわからないですね?」「そうだよね?」で受かったと聞いていたのに、かなり進路について突っ込まれました。志望調査票を書いたときに、はっきりと希望の職業名まで書いてしまったのがいけなかったのでしょう。本当は未来のことなんてわからないし、選択肢の一つ、希望の一つとして提示したつもりだったのですが。一緒に受験した友達は留学のことや簡単な世間話ばかりだったと聞いて、嫌な予感がしましたね。
結果合格できたことから
豊田高専から提出する調査書に留学のことがしっかりと書かれていた
過去の実績よりも将来性を見たい
将来の構図がはっきり見えている人は少ないから興味がある
これらのうちどれかだったと思っています。面接は蛇足でしかありません。筆記試験が良く、最低限の人間性と、熱意があれば2科目3科目限らず合格は確定的です。
【後輩に伝えたいこと】
受験とは「合格と不合格のうち、合格をもらう」ことを目標とします。結果が出せないような努力は過程がどれだけ優れていても周りに評価されません。また、己が許しません。あの時に本気を出しておけばよかった。後から惨めな気持ちになるのは、私は絶対に許せませんし、皆さんもしたくないはずです。
もし、私が不合格という結果に終わっていたらこんな風に大きな顔をすることもできないだろうし、頭のいい皆さんにアドバイスを送れる立場にいないでしょう。でもね、こうやって編入体験談を投稿できること、東大生の肩書がつくこと、これは結果を出した者の特権なんだ。悔しかったら君も、結果を出せ。
編入試験は高校生の大学受験に比べて圧倒的に情報がありません。そのために不利に立たされることもあるし、孤独な戦いをもう投げ出して終わらせたいと感じることもあります。私も経験してきたからわかります。なるべくその苦しみを味わってほしくないという思いで、ブログや、この記事を書いています。
しかしながら、最近ではこのウェブサイト「HAVE FUN」、そして「ZENPEN」、「小山太郎流」、または私のブログ「くろちゃん日記」等の個人ブログ、高専からの編入試験を扱うメディアの数が増えてきました。大学編入の情報が昔と比べて手に入りやすく、敷居が低くなってきた時代だと思います。その時代に試験を受けるあなたたちは、まさに時代の転換期にいます。自分たちがそれらのメディアを活用するのか・しないのか、合格後に今度は投稿者として後輩達に情報を共有するのか・しないのか。全ては自由であなた次第です。
でも、私やこのウェブサイトの製作者は、もっと編入試験を苦しくないものにしたい!編入受験市場を盛り上げたい!こういった希望をもって活動しています。もしあなたがこの気持ちを理解してくれるのなら、これらの情報を十分活用した後今度は投稿者側として、次世代に希望のバトンをつなげていってもらえるとこんなに嬉しいことはありません。よろしくお願いします。
【おすすめの参考書】
これまでに使ってきた参考書を詳しく評価したのでよかったらご覧ください。